一番の客は君じゃない、、、!?一番のお客さんは、、、
「ムハンマドに、僕のお気に入りのサラダ、明日作っておくように言っておいて」
サイードは、私にそうメッセージを送ってきた。
明日、サイードは、あのメニューのないレストランに、一緒に行きたいらしい。
サイードも、彼がこのホステルに滞在している頃は、私と同様毎日あのレストランに通っていた。
サイードも、あのメニューのないレストランにとっての得意客なのだ。
今日は、日曜日。
明日は月曜日。
ということは、明日はサイードと会う日だ。
彼は毎週月曜になると、別に約束しているわけでもないのに、電車で1時間かけて私のところまで会いに来るのだった。
でも、なぜか、ホステルやあのレストランには、彼は顔を出さなかった。
私と、外のファストフード店で会ったり、街を散歩したり、無料バスに乗っておしゃべりするだけで、ホステルにも、あのレストランにも行きたがらなかった。
「いつも顔を出していたら、何も特別じゃなくなっちゃうじゃないか。」
というのが、彼の理論らしい笑
そんな彼も、どうやら明日はついに、このレストランに来る気になったらしい笑。
私は、今日も、そのメニューのないレストランに向かった。
私はレストランに入ると、まずムハンマドに、
「あのね、ついにインドへの飛行機チケットを取ったの!!
しかも路上ライブで貯めたお金だけで!!
26日の飛行機にしたよ!」
彼は、いつも、
いつインドに行くんだ?
と気にかけてくれていたし、お金のことも私のことも心配してくれていたから、まず報告したかった。
私が、飛行機を取ったことを伝えても、彼は、Im gonna miss youなんて気の利いたことは一言も言わない。
ただ、いつものような、真面目な、むしろ無表情に近い顔で、
「そうか、気をつけろよ、インドは特にな。女性だけで、特に夜は歩いてはいけないぞ」
と注意してくれた。
そして彼は今日、ひよこ豆を使った新しいメニューを作ってくれた。
「チックピース(ひよこ豆)は、プロテインがたくさんだから、ベジタリアンはこれでタンパク質を取るんだ。」
といつものように豆知識を教えてくれる。
私が、新メニューを味わっていると、ソマリア出身のヤシンがお店に現れる。
彼も、このホステルの常連さんの一人。
ヤシンと話をしていると、
普段仕事って何してるの?
と言う話になった。
彼は自分のビジネスを持っているのだと言う。
旅中に出会った人たちって(もし、それが長期の旅の場合はなおさら)自国にお店を持っていたり、オンラインビジネスをしていたり、自分で何かしらのビジネスをしている人たちが多い。もしくは、スキルがあって、フリーランスとして働いている人たち。
ビジネスをしている人たちって、自分の会社があって、それがある程度、不労所得のような形でお金を産んでくれる場合が多いので、そのお金で海外を旅できるんだよね。
経営者だから、お店のことは他の人に任せていたり、もしくはオンラインビジネスだったり、オンラインで仕事ができるフリーランサーだったりして、多くの場合、自分の国や、決まった1つの国にずっと滞在している必要がないの。
それに、こうやって海外に出ることで、人脈も広がるし、取引もできるから、旅をしたがる人も多い。
それに、ビジネス思考の人や、フリーランスの人って、多分海外経験の大切さに価値を感じている人が多いんだよね。
それと、旅をしている間に出会う人って、何かしら特別な能力や才能、考え方を持ってたり、刺激的な人に出会える事が多いんだよね。
長期で旅をできるって、自国に滞在せずともその資金を賄える力があって、世界を知りたいという好奇心と行動力があって、旅しながら色んな価値観や物事に触れ、知識と経験豊富な人が多いからだと思う。
私が旅中出会う人の中には、旅行をしている人、旅をしている人、長期滞在している人、ビジネス目的の人、など色々な人がいる。
旅行をしている人は、多少お金を使ってでも観光地を回る人が多い。このタイプは、自国で旅行に使うお金を貯めてから、旅行に来ているので、期間は割と短い。
旅をしている人は、節約をしながら、観光客よりは地元の生活に近い形で観光をする。旅行者よりは、細く長く旅をするイメージ。
ビジネス目的の人は、海外にくること自体が仕事の一環だったり。
長期滞在の人たちは、次の行き先も、いつ行くのかも決めていなかったりする。制限なしに、めちゃくちゃ自由に過ごしているのがこのタイプだと私は思う。彼らは、旅をしている最中にも、何かしらの手段で、お金を生む方法を持っている。だから、旅に期限も予算も、他のタイプに比べてさほどないのだ。
もちろん例外はあるし、私の主観ね!
ホステルには、いろんなタイプの人がいるのだけれど、1ヶ月、2ヶ月って、同じホステルに滞在していたり、長期で旅をしている人って、最後のタイプであることが多い。あとは、留学生とかかな。あまり会わないけど、それかよっぽどのおぼっちゃま笑
むしろそうじゃなきゃ、海外に長期で滞在するなんて、不可能に近いから。
話が逸れたけど、ヤシンも自分でビジネスを持っているとのことだった。
彼も、まだ次にどこに行くか、いつ移動するのかも決めていないらしい。
マレーシアには、もう何ヶ月も滞在しているらしかった。
この間あった男性も、自分のビジネスを持っていて、世界中を旅しながら生活し、もう6年、自国に帰っていないと言っていた。
ヤシンは、私は、君は何をしているの?
と聞くので、
「路上で歌ってバスキングして、あとはブログを書いて、それでもらえるちょっとした収入がある」
と答えた。
ムハンマドは、
「僕の仕事もwriting(書くこと)なんだ」
とそこで会話に混ざってきたので、私は、
「あなたの仕事は、シェフでしょ」
と突っ込んだ。
彼は、
「違う、料理はただの趣味なんだ。本当の仕事は書くこと。それもね、お母さんに手紙を書くこと!」
そういってガハガハ笑ったかと思うと、続けてこう言った。
「その内容が、『僕にお金を送ってくれ』って言う内容の手紙さ!!ガハハハ。ほらね、これで、書いてお金をもらえるでしょガハハハ!」
彼はその後、急に我に帰ったように、またいつもの真面目な表情、真面目な口調に戻り、
「冗談だ。僕はちゃんと仕送りもしている」
と言うのだった。
私は、そんな彼に、
「そうだそうだ思い出した」
という風に、
「サイードが、彼のお気に入りのサラダを食べたいって。明日ここに来るみたいだから、忘れずに作ってあげて」
と伝えた。
彼は、
「やっと来るのか。いつもいつも君に会いに遠くからこの周辺まで来るくせに、全く俺のところには顔出さないんだから」
と、愛のこもった感じで文句を言っていた笑
そういえば、いつのことだったか、シェフのおじさん、モハメドはこんなことを言っていたことがあった。
***
「ミホ、君は僕の中で特別なお客さんさ。知ってるだろ。
でもね、君は一番のお客さんじゃあない。一番のお客さんは、、、、」
彼は、ここで言葉を一度切った。
そう言う彼は、私を見つめながら、ニヤニヤしている。
私は、彼は私に答えを言わせたいんだな、と察した。私は、それに気づいて内心おかしくなってしまった笑
でも、その答えは、考える暇なんて、必要ないほど、彼がさっきのセリフを口にしたと同時に、もう私の頭の中に浮かんでいた。
「サイード!」
「その通り!!」
私の答えを聞いた彼の顔は、ニヤニヤからニンマリ笑顔に変わった。
「彼は君より先に僕のお店に来ていたからね。彼がバッセムをここに連れてきて、バッセムもここの得意客になった。そしてバッセムが君を連れてきて、君もここの得意客になった。サイードがいなければ、君もここを知ることはなかったからね。」
***
私は、少しサイードが羨ましくなったのと同時に、それよりも、やっぱりサイードと友達でよかったと心から思った。
そんな彼と親友なことに、なんだか誇らしくなった。
私は、私の大好きなおじさんモハメドが、私の大好きな友達サイードのことを好きでいてくれて嬉しかったし、
私の大好きな友達サイードが、私の大好きなおじさんモハメドのことを好きでいてくれて本当に嬉しかった。
それに、彼らが私を好いていてくれていることも。
私は、ご飯を平らげると、いつものように、食器を洗って彼に返した。
特別価格の半額で、私にだけ食べさせてくれている彼。
前代未聞の価格だと言う。
お金がなくて困っている私にできることは、食器を洗うこと、そして、ここの美味しさを、リアやムーン、ホステルのみんなに伝えることくらいだった。
私がいつものようにお皿を洗って返すと、彼の方もまた、いつものように、
「ははは、君にお皿洗いのお駄賃払わなきゃね」
と冗談を言うのだった。
時々彼は、人前で、私のことを
「この子はいつもお皿を洗って返すんだよ。とってもいい子なんだ。」
と褒めることもあった。
私はと言えば、そんなこと人前で言って欲しくはないのだけども、(笑)でもきっとそれが彼の優しさというか、気の使い方というか、私への敬意なのだろう。
私のお腹は、ひよこ豆のスープでお腹がパンパンだった。
その日も路上ライブは、やっぱりとても楽しいものだった。
台湾で作曲家をして、歌手に楽曲提供していると言う人に話しかけられたのだけど、後々Youtubeで調べたら、どの動画も何万回も再生されるほどだったので、私はびっくりしてしまった。。。
こちらは、日本人のご一行と!
この日は、
285.7RM
USD 2$
日本円で合計約7625円いただいた。
6/23
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