インドはアジアのラスボスじゃ。
まるで銃弾のようなインド人タクシードライバーたちの、
ガミガミうるさい勧誘をもろにくらい、
ボロボロになりかけた私。
そんな私を救ってくれた、救世主、
良心的なドライバーのタクシーに乗り込んだ私たち。
私を含め、4人の乗客を乗せると、タクシーは出発した。
乗客は、私以外全員インド人。
私の隣に座っていたのは、
バラナシ出身だと言う、29歳の男性。
なんと彼、インドの中でもかなーり優秀な大学を出ているらしく、
エンジニアとして、世界の貿易船に乗っているのだそうだ。
そしてこの時、スエズ運河から、6ヶ月ぶりにインドに帰国したところなのだと言う。
数ヶ月から1年くらいは、一度船に乗ったら降りれないのだと!
彼との会話は、なかなか面白かった。
「あなたはバラナシ出身なの?」
「そうだよ」
「じゃあ話すのはタミル語じゃなくてヒンドゥー語ね」
「そうだね。僕はタミル語は一切わからない。インドは同じ国の中でも、地域によって文化も言葉も全く違う。1つの国なのに、まるで違う国のようなんだよ」
「そうだよね。私、マレーシアに半年くらいいたんだけど、マレーシアって多民族国家で、インド系の人たちもいっぱいいてね。
でも、マレーシアにいる時に気づいたのが、ヒンドゥー系の人たちじゃなくて、タミル系の人たちが多いなってこと。
つまりアーリア人じゃなくて、ドラビダ系!
マレーシアの街中で見る文字も、ヒンドゥー語よりタミル語が圧倒的に多かった気がする。
インド系のお寺もたくさんあったんだけど、南インドのスタイルが多かったんだよね」
「そうそう。よく知ってるね。
ヒンドゥー系の人たち、つまり北インドの人たちはね、インド国内のあちらこちらに行くんだ。
でも、なぜかあまり国外には出ていかない。
けれど、南インドの人たちは、海外にどんどん移民したり、進出していくんだよ。」
「へえ、面白いね!だからマレーシアやシンガポールとか、東南アジアのインド系の人たちって、南インド出身の人が多いんだ。それに、南インドの文化が多いわけね。
まあ、南の方が、地理的にも、海にも東南アジアの方にも近いしね!」
私は、空港から市内まで、窓の外の景色を、じっと眺めていた。
私が、空港から市内に行くまでに何より思ったことは、
「インドって思っていたよりお金のある国だな」
と言うこと。
そして、もう1つが、
ネパールの進化版、、、!!笑
と言うこと。
ちょうどカトマンズを、もう少しリッチに、そしてもう少し大きくしたら、こんな感じになるだろう。
あとは、ネパールよりめちゃくちゃ暑いけど、
でも、ネパールとインドって、街並みがやっぱり共通している。
ネパールは、実際、インドの文化の影響をものすごく受けているし、
文字も北インドはヒンディー語圏なので、デーバナガリー文字(こう言う文字 नमस्ते )を使っているので、街で見える看板なども同じ感じなのだ。
そうしてタクシーが、バラナシジャンクション(バラナシで一番大きな駅)の近くまで辿り着くと、彼は私たちをそこで下ろした。
私は、約束どおり、200ルピーを払った。
ドライバーのおっちゃんは、それ以上お金を要求してくるようなことはなかった。
実は今、私は、インターネットが使えない状況。
この状況で、見知らぬインドで一人になったら、結構道に迷う可能性がやばい。
ヤバいと言っても、地図もあるし、どうにかすればホステルにはたどり着けるだろうけれど。
まあ、もともと、
人に聞きながらホステルまで辿り着くつもりだったので、
その状況も想定内なのだが。
とりあえず私は、
流れで、船のエンジニアの彼についていくことにした。
といよりも、
「ここからホステルまで行くにはどうしたらいい?」
と彼に質問したら、なんとなく、彼がホステルまでのリキシャーを探してくれそうな雰囲気になったのだ。
彼は、私を何度も振り返り、私を気にしながら、駅に向かって歩いていく。
そんな彼の後ろを、灼熱の気温の中、重たい荷物とギターを持って、私はついていった。
駅構内に入ると、人があちこちで寝ていた。
インドで思ったことは、インド人はどこでもかしこでも寝る!!と言うこと。
空港でも、駅でも、道端でも、地面でも、どこでもだ。
そしてもう1つ思ったことは、
結構インドって、ちゃんとしてるやん。
と言うこと。
それは、アジア最貧国で、文化もインドと近いネパールと、比較してしまうかもしれない。
彼は、駅の中で、リキシャーに話しかけ、私のホステルまで行ってくれそうなドライバーを捕まえてくれたのだが、ここからの料金がなんと200ルピーだと言う。
ここからホステルまでは距離にして5キロほど。
相場だと、30ルピーくらいで行けるはずなので、割高だ。
そして私は、手持ちで残りちょうど200ルピーしかない。
何かあった時のために、100ルピーは残しておきたい。
「100ルピーしか持ってないから、もっと安い人じゃないと無理」
と言う私。
こう言うちょっとした嘘って、インドみたいな場所を旅行するときには本当に大事。
私は、旅に慣れていなかった頃、こう言う嘘をつくのが苦手で苦手でしょうがなかったのだけど、
10カ国以上一人で旅をしていくうちに、身についた。
すると、
エンジニアの彼は、
「僕が払おうか?」
と言ってくれる。
私はそれは申し訳ないので、
「大丈夫。もう少し安いリキシャーを自分で探すからいいよ」
と言った。
もう、この駅まで来たら、流石に誰か100ルピーくらいで見つかるだろう。
そう思っていると、彼は、
「君のホステルと、僕の家の方向って同じ方なんだよ。
だから、今回は、僕が送っていくよ。
君はお金を払わなくていいよ!
僕の国のお客さんだからね!
君はゲストだから、僕が今回はトリートするよ」
と言ってくれた。
私は、ここで
素直にありがとうと言って、彼のお言葉に甘えることにした。
「もし、あなたが日本に来た時は、案内するね!」
正直、私は、この時、相当びっくりした。
ここはインド。
インド人って、お金をとにかくぼったくろうとするイメージ。
でも、そのインドで、こんな優しいもてなしを受けるとは思っていなかったから。
普通なら、付いていかないかもしれないけれど、野生の勘で、
彼がとっても博識があって親切なのは、空港から駅までの30分で十分伝わってきていた。
だから、信用したのもある。
そんな彼と、トゥクトゥクの中で話す時間は、正直とても面白く、楽しかった。
タクシーが市内に近づいて行くにつれて、交通量は多くなっていく。
道は常に渋滞のような感じで、
トゥクトゥクやらバイクやら、車やら自転車やら、牛やらが、まるでルールなどないかのように、
ごちゃごちゃして、ノロノロ走っていた。
そしてここでは、
クラクションがすごい回数で鳴り響いている。
プップ!!
プーーーッ!!
プッ!!
短い音、数回鳴らすもの、長いものなど、
いろいろな種類のクラクションが至る所から同時にたくさん聞こえてくる。
クラクションが鳴っていない瞬間など、もはやない。
一秒間に5台以上の車のクラクションが鳴っているのが耳に入ってくる。
想像してみてほしい。
これはかなりすごい事だ。
でも、本当なの。
なぜ彼らがこれほどクラクションを鳴らすかと言うと、
彼らにとって、クラクションは、ドライバー同士のコミュニケーションだから。
インドでは、クラクションは日本のように、危ない瞬間に鳴らすものではなく、
ウィンカーやハザードランプを出す以上に軽い気持ちで使うコミュニケーションツールなのだ。
私の隣に座っていた、船のエンジニアの彼は、
「クラクションには、ドライバー同士ならわかる意味があるんだ。
例えば、短く2回鳴らしたら、お先にどうぞってい意味だとかね。
僕はドライバーじゃないから実際の意味はわからないけど。
そして、バラナシと他の地域とでは、その意味もまた変わってくる。」
と教えてくれた。
さて、そんなこんなで、私は、無事、予約したホステルまで送ってもらった。
お礼を言って、彼とさようならすると、
彼は、私たちが乗ってきたトゥクトゥクに乗って去っていった。
ありがとう〜〜〜〜!!!
インド、なかなか順調な滑り出しじゃん?
私の心は、軽く踊っていた。
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