未知の世界、カンボジアへ。
未知の世界への入り口は、いつだってワクワクする。
国境を越えるバスを前にすると、早くそこへ向かい気持ちを抑えられなくなる。
例えるなら、ディズニーランドのアトラクションの乗り物が目の前に到着し、これから夢の世界へと冒険しに行く時のような気持ちかもしれない。。。。(前回の記事より)
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カンボジアという未知の国へ向かう”夢の乗り物”は期待していたよりもオンボロではなかった。
これまで15カ国旅してきた私だけど、ネパールのバスを越えるオンボロバスは、これまで出会ったことがない。
そしてそれだけでなく、カンボジア行きのバスは、思ったよりも揺れなかった。
”夢の国”のアトラクションは、もっとこう激しく揺れて、急降下して、360度回転して、、、、
ってすみません。
もちろん、日本のバスに比べたらガタガタ揺れるけどね。
でもね、ネパールのバスは、お尻が10センチ以上浮くほど車体がジャンプするのは当たり前だし、しかもその頻度が、3秒に一回くらい。
それで9時間以上走り続けたりするんだから、本当に遊園地のアトラクション以上だと思う。
そんなネパールに2ヶ月も滞在していたおかげで、私は東南アジアのバスくらいじゃ、全く酔わない体を手に入れた。
それどころか、数時間以上バスの中で本を読んでいたって、全く酔わなくなった。
旅にはうってつけだ。
まあそんなことはさておき、バスへしばらく乗ると、お昼前に一度トイレ休憩があった。
そこでソーセージを購入したのだけど、これが本当に美味しい。
で、この美味しいソーセージをさらに美味しくさせるのが、このビニール袋にそのままポイポイ入れられた薬味たち。
スライスした生姜に、キュウリ、唐辛子がそのまま入ってるの!
ソーセージを一口食べた後、生姜や唐辛子をちょびっとかじると、最高なのだ。
生の唐辛子を食べるなんて、日本にいた時には絶対無理だったけれど、さすがに東南アジアに3ヶ月もいると、辛さへ耐性も付き始める。
休憩後、バスはどんどん東へと向かい、カンボジアへと近づいていった。
出発から4時間したところで、バスはタイとカンボジアの国境へとたどり着く。
まだここは、表示の文字もタイ語。
これが数時間後カンボジアに入国した際には、見渡す限りクメール語に変わっているはずなのだから、不思議な感覚がする。
バスを降りると、ここで出入国手続きを済ませる。
陸路で国境を越えるのは、これで人生3度目の経験だ。
タイ側で出国手続きを済ませた後は、今度はカンボジアのイミグレーションオフィスまで歩いていく。
タイのイミグレからカンボジアのイミグレまでの道は、バイクと車でごった返していた。
ここで既に、タイの雰囲気とは明らかに違った、カンボジアの匂いをムンムンと感じていた。
実際ここにいる人たちは、半数程度はカンボジア人に帰国する人、またはカンボジアから出国する人であるはずなのだから、それもそのはずだろう。
カンボジアは、スマホのスリ大国らしい。歩きスマホをしていると、後ろから来たバイクにスマホをひったくられると聞いている。
私は、ポッケに入れたアイホンが、そんな目に合わないよう、ポケットの上に手を添えて歩いた。
カンボジア側のイミグレに辿りつき、入国手続きを済ませると、カンボジアへの手続き上の入国が完了だ。
元来たバスまで一度引き返し、同じバスにに乗ってきた全員が手続きを終えまたバスに揃うと、カンボジアへと向けて再出発した。
(タイとカンボジアの陸路入国の様子を詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ)
バスがカンボジアへ入国すると、その景色は一瞬にしてガラリと変わる。
建物の作り、文字、道ゆく人の服装。
同じ陸続きの国なのに、国境という地図上に引かれた線を飛び越えるだけで、一瞬にしてそのカラーが変わるのだから面白い。
経済の差、文化の違い、言語の違い、様々なものが景色に現れる。
5分前とその後で、景色が全く変わるのだ。
この一瞬の変化を体験できるのは、陸路国境越えならではの面白さである。
飛行機や船では経験することはできない。
バスが更にカンボジアの隅から中心へと進んでいくと、景色はだんだんとただの野原になった。
どこまで行ってもただの野原。
どれだけ目を凝らしても、その向こうに草木以外の何も見受けることができない。
この光景が、2時間も続いたのだから、一体カンボジアはどれほどの土地が有り余っているのだろうと、心底不思議になった。
さっきまいたタイとは全く違った光景である。
ビルや建物で埋め尽くされた日本に慣れている私は、このだだっ広い野原に驚いた。
日本なら、何でもない土地なんて、もう見つけるのが難しい。
土地には大抵名前が付いて、人間の役に立つ役割を果たしている。
畑だとか、誰かの家だとか、駐車場、会社、田んぼ、道路、お店、、、。など。
”そのまま土地”というのもおかしいかもしれないけれど、何かの役割を果たしているようには見えない土地が、こんなに広く続いているのだから、びっくりせずにはいられなかった。
バスの車窓から見える家並みも、明らかにタイとは違っていた。
私の乗っているバスの横を時々こんな車も通りすぎていった。
牛が、首、足、前足をつながれ、運ばれていたのだ。
その牛を縛るロープにたるみは一切なく、1センチ足りとも身動きできずにいる。
首を動かすことさえできず、ただひたすらに下を向くしかない牛。
動けないだけでなく、周りの景色を見ることさえできず、どこへ運ばれるかもわからない牛の気持ちを考えると、恐怖でいっぱいだろうと気の毒になった。
精神的にも、身体的にも、とても苦痛なことだろう。
唯一動かせるその丸い瞳はなんだかとても悲しそうに見えた。
さて、バスはどんどんカンボジアのシェムリアップに近づいていく。
シェムリアップは、アンコールワットワットなどの遺跡群の観光の拠点となる街だ。
カンボジアの中ではかなり大きな都市にあたるので、どれほどのものかと思い、スマホの地図上現在地が、シェムリアップに近づいて行く様子と、バスの様子を、わくわくしながら眺めていた。
が、現在地がどれだけシェムリアップに近づいても、その景色は一向に、とてものどかな田舎の風景のままだ。
カンボジアの中でも大きな都市シェムリアップも、周辺はこれほどの田舎町なのだな〜ということが、率直に新鮮だった。
さて、バンコク出発から7時間バスはシェムリアップにある、このバスを運行するバス会社へと到着した。
ここからシェムリアップ中心地を目指すことになるのだが、その間ちょっとした事件が起きたので、この続きはまた今度にするとします!
2019/3/29
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