ついに、、、インドへの航空券を買ったぞ!!!!路上でいただいたチップのみで、、!
この日、私は、早めにホステルを出て路上ライブに向かった。
普段は、夜8時頃から10時頃まで歌っているのだけれど、
今日は、17時くらいから歌う予定。
17時となるとアロー通りはきっとまだ賑わっていないはずだから、他にバスキングできる場所を探すつもりだ。
さて、なぜ、今日は早い時間から歌おうと思ったのか。
それは、
昨日、路上ライブ中に怖い思いをしたので、今日は夜遅くならないうちに帰ろうと思ったから。
だからその分早くバスキングを始めようと思ったのだ。
いつものようにムハンマドの料理を食べ、まだ空が明るいうちに、一応アロー通りを覗いて見ると、案の定、いつもの賑わいが嘘のように、人の姿はあまり見られなかった。
ポツポツと、通りを歩いている人がいるだけ。
屋台も1つもオープンしていなかった。
まあそりゃそうだよね
と気を取り直し、私はブキッビンタンの方へ向かった。
ブキッビンタンは、マレーシアの首都クアラルンプールの中でも、高級デパートやショッピングモールのなどの終結し、若い人たちが集まるもっとも賑わいのある場所。
日本で言ったら、渋谷のような場所かもしれない。
そこへ向かって歩きながら、
「せっかくこの辺りで歌うなら、もう一曲くらいレパートリーを増やしたいな、、、」
と思いついた私は、wi-fiの使える場所を探す。
ギターのコードを調べるためだ。
ピアノなら、コードなんて調べずに、一回聞いたことのある曲なら、その場で即興で弾くことができるんだけどな。
でも、ギターがあまり得意でない私には、ギターだとそうも行かない。
あたりを見渡すと、マクドナルドが目に入った。
あそこでコードを調べて、スクショして、その辺で練習するか、、、
そう思いマクドナルドに向かう。
無事マックで少しだけwi-fiをお借りして、コードをスクショしたあとは、
目の前の階段の両脇の縁の部分に腰掛けて、ギターを練習し始めた。
ちなみに、日本だと、階段の脇の縁の部分に座るなんて、ちょっとだけお行儀が悪いかもしれない。(ちなみに、縁の部分なので、人の邪魔にはなっていない)
でもここはマレーシア。
階段の脇の縁どころか、階段の段の部分に腰掛けている人まで、大勢いる笑。
階段に腰掛けて、タバコを吸う人、おしゃべりする人、みんなのんびり過ごしている。
国にもよるけど、海外って、日本ほどそう言うの気にしないの。
日本ほど、きっちりしてる国って、多分世界中どこを探してもない。
地球上にある国の中で一番
というと盛っていると思われるかもだけど、本当に日本は世界一ルールやマナーがしっかりしてる国。
そしてその認識は、世界の差でほとんど共通。
アラビア人にもアジア人にもアフリカ人にもヨーロッパ人にも散々言われる。
「日本はルールとマナーが世界一の国」
だと。
ちなみにこの階段は、夜になると、多くの人がスタジアムの観客席のようにぎっしり腰掛け、階段の下がまるでステージのようになる。
ドラム、アンプ、マイクまで持ち込んだ大音量のバンド演奏の場所と化す。
日本じゃありえないよね。
私、正直、日本って、細かいことに、ちょっと口うるさすぎるかなって思う。
そう思ってない人はごめんなさい。
でも、旅慣れている日本人に会うと、私と同じことを言う人にたくさん出会う。
旅をして、海外に慣れて、人目を気にせず、規則に少しゆるく(日本からしたらゆるいけど他の国からするとふつう)、人目を気にするよりもやりたいことをやって、生きていくことに慣れると、日本は本当に窮屈に感じてしまうことがある。
私もその一人。
この世界一周の前から、ちょくちょく旅はしていたのだけれど、日本に帰国すると、1週間くらいの間は、窮屈すぎて、頭が痛くなっちゃうの。
ルール、マナー。それはもちろん大事。
でも、人の目を気にしてやりたい事をできないとか、他人に合わせることに必死になってる人たちを見ると、違和感に思うときもある。
海外から帰ると特に駅や電車を歩いていても、街を歩いていても、何処にいてもひしひしとそれを感じる。
例えば、
「電車の中で電話をしていると注意をされる」
と言うことを外国人に言ったら、
心底驚く人はたくさんいる。
「なぜ?何が理由で電話しちゃいけないのか説明してよ」
と。
外国では、電車で電話をすることは、禁止されてもないし、マナーが悪いとさえ思われていない場合も多い(そうじゃない国もあると思うよ!)
だから彼らにとっては、電車で電話することって、別に悪いことじゃないの。
日本に来た外国人が、よく電車で電話をしていたりするのは、それが悪いことだという意識がそもそもないから。
まあ、日本に来たのだから日本のルールを学んで、従うことは大事なんだけどね。
日本のルールやマナーを、外国人だからと言うことを理由に破っていいとは思わない。
でも、まあ、背景にはそういう理由がある。
日本って、多分世界で一番マナーのちゃんとしてる国。それは素晴らしいことだけど、海外に慣れて帰ってくると、それが逆に窮屈に感じることもある。
旅をしていると、外国人に「日本で育っていない僕らは、日本では絶対に暮らせない笑」と笑われることがある。
マナーやルールが多すぎるから、ついていけないよ。
とのことらしい。
私がギターを出して、そこに腰掛けて弾いていると、しばらくして一人のマレーシア人男性が、声をかけてきた。
正直、この時の私は、新しい曲の練習に集中したかったし、昨日の恐怖の出来事のせいもあって、向こうから話しかけてくる人に対してちょっとした拒否感もあった。
「どこからきたの?旅行?」
と聞く彼に、私は、笑顔を見せないようにして、「日本。旅行」
と、淡白に答えた。
それでもめげない男性。
「しばらくここにいていい?君のギターが聞きたいんだ」
私は、「いいけど、ただ練習してるだけだから、つまらないよ。大きな音出すつもりもないし。」
とまた淡白に答えた。
私は、彼と目を合わせないようにし、あっちに行ってくれオーラを出しまくった。
だって、これでこの人も、またなんか怖い人だったら嫌だもん。
それに、ただのナンパ目当てだったら面倒だ。
私のそんな態度にもめげず、彼は15分程、私のギター練習を笑顔で見ていた。
すると彼はついに口を開き、僕もギターを弾けるんだ。
時々路上ライブもしててさ。
と言い始める。
「へー、そうなんだ。」
これには少しだけ、反応をしてしまう私。
だがそれでもまだ警戒心出しまくりだ。
すると彼は、「ちょっと借りてもいい?」と言って私のギターを取ると、弾きながら歌い始めた。
マレーシアの有名なポップスらしいが、なかなかいいバラードだった。
ギターも歌もうまい。
私は、「おー!」と言って小さく拍手をした。
私たちは、そこから音楽のことについて少しだけ話した。
私たちがそこで話をしていると、突然、
アラブ系の顔をした男性がやってきたかと思うと、私の隣にすっと座り、無言で私とのセルフィーを決めた。
パッと前を見ると、仲間が他に2人。
英語は喋れないようだったけど、どうやら私たちと写真を撮りたいらしい。
でも不思議なのが、「一緒に写真を撮ろうよ」と全員で写るのではなく、まるで私たちをオブジェか何かだと思っているように、順番に私たちと、彼らの一人ずつで、写真撮影していくのだ。
それも、無言で、順番に私たちの前に来ては、カメラを友人に預けて写真を撮っていくのだから、余計に、私は、自分がモニュメントになったような気がした。
なんなんだ。。。。
そのままでもなんなので、私は、「せっかくならみんなでセルフィしようよ」と声をかける。
そうして撮れたのがこの写真。
彼らが去った後、私とマレーシア人の男性は、二人で顔を見合わせて笑った。
なんだったんだろうね笑
私たち、なんか面白いことした???笑
と。
それから、私が最初、警戒しまくっていたこの男性、どうやら、彼は本当に純粋に、私のギター、音楽に興味があっただけみたい。
1時間ほどそこにいて、ギターを弾きながらおしゃべりしたけれど、結局彼は、連絡先を聞いてくることさえなかった。
私は、さようならを言って、高級デパートの並ぶブキッビンタンの中心地、パビリオンの方へと歩き出した。
私は、とあるデパートの前で、警備員さんに許可をとり、ギターを弾き始める。
そこで1時間ほど歌うと、別の警備員さんに注意をされてしまったので、私はアロー通りへと移動した。
ここでの稼ぎも、まあまあだった。
私がアロー通りに着くと、もうそこはすでに人で賑わい始めていた。
アロー通りに着く途中、いつも近くでバスキングをしているミュージシャンたちとたまたま出会ったので、私は手を降った。
一度も喋ったことはないけど、手は振るという、不思議な中だ。
ここで歌を歌っていると、そういう出会いというか、関係がいくつかある。
実は、ここでは、毎日、スピーカーで音楽を流しながら歌を歌い、稼いでいる、腕のない男性がいる。
私は最初、彼とアロー通りですれ違うとき、軽くお辞儀をしたり、挨拶がわりに微笑んだりしていて、互いに目を合わせて挨拶のようなものを交わしていたのだが、数日くらいしたところから、向こうが歯を見せて笑ってくれるようになった。
それから、私たちは、毎日手を振る中になった。
と言っても、彼は肩から先がないので、手を振る代わりに、笑顔で肩の部分の骨を動かしてくれる。
この日も、路上ライブ中、たくさんの人に応援してもらった。
こんなこと書くのもあれかもしれないが、韓国と日本、中国と日本って、政治的な問題などから、あんまり仲良くないって思っている人が結構多いと思う。
だけど、路上ライブをすると分かるのだが、
韓国人だ!とか、
中国人だ!とか、
日本人だ!とか
そんなの関係なしに、応援してくれる人がかなりたくさんいるのだ。
中国の元で投げ銭もらうこともたくさんあるし、
「俺らは中国から来たんだ!私たち中国から来たの!日本の歌大好きよ!頑張って!」
「藤井フミヤ歌ってよ!宇多田ヒカル歌ってよ」などとJ-Popをリクエストされたりすることも多い。
「ボクハ韓国人デス!ガンバレ」とこの日は、韓国人の男の人に日本語で言われたし、
「SCANDALってバンド知ってるでしょ!僕ファンなんだ!」と言っている韓国人男性もいた。
ドラえもんよく見てたよ!アニメが好き!日本が好き!って
そんな風に言ってくれる、中国人、韓国人の人もたくさんいる。
この日も、韓国人の人にも中国人の人にもたくさん話しかけてもらった。
「コンニチワー!ガンバッテー!ニホン〜!」って、笑顔で言ってくれるのだ。
ちなむとマレーシアでは、一番よく話しかけてくれるのも、投げ銭をくれるのも、中国人の方が一番多い。
さて、この日は、最初の予定通り、早めに路上ライブを切り上げ、遅くなる前に帰った私。
ホステルに帰ると、私は、あることを決心した。
そう、インドへの航空券を買うこと!!!
インドへの航空券は、約1万8000円。
実はまだまだこの時、1万8000円も貯まっていなかったのだけれど、このペースで稼ぎ続けられれば、26日までにはその額を貯めることができる。
そして、周辺の日程だと、26日が一番航空券が安かったのだ。
26日の飛行機をとるには、もう既に22日である今日は、もう遅いくらいだ。
今日くらいチケットを取らないと、また値上がりするかもしれない。
ということもあって、私は、この日、飛行機チケットを買うことにした。
が、銀行口座が底をついているため、カードも止まってしまっている私。
残された手段は、誰かにクレジットカードで代わりに購入してもらい、私が現金を渡すというもの。
私は、同じ部屋の中国人の女の子、リヤンに、飛行機を取ってもらうことにした。
まず私は、彼女に、私が頑張ってギター弾き語りで貯めた、今持っているほぼ全ての額を彼女に渡した。
350RM!日本円にして、約9000円!
これで残りは約1万!
私は、残りの1万円を、あと3日で稼ぐだけではなくて、何が何でも貯めなくてはいけなくなった。
うまくこのペースでいけば、明後日には貯まるのはず、、、、!!
そして残りの約1万円のために、デポジットとして100ドルも渡しておいた。
私がもし、26日までにお金を貯められなければ、このドル札は彼女にそのままあげる。
無事稼げたら、ドル札を返してもらい、代わりに残りをマレーシアリンギットで返すという約束をした。
私は、この自分で稼いだ現金を彼女に渡した瞬間、
「woooooooooo!!!!!!!!!!!」
と、日本語ではどうしても表現しきれないようなめっちゃくちゃ「wooooooooo!!!!!!!!!!hooooooooo!!!!」な気持ちになった。
日本語で言ったら「ウヒョオおおおおおおおおお!」だと思う笑。
だって、これ、自分が世界一周×路上ライブという心の底から好きなことをして、それに共感してくれた人たちからの応援の気持ちとして、彼らの手から路上で直接いただいたチップの集合なのだから。
自分で、直接稼いだお金であることもそうだし、これが、私が誰かを感動させたり、幸せにしたり、驚かせたり、頑張って!という気持ちにさせたり、勇気を与えたり、励ましたり、少なくともなんらかの形で彼らの心を動かしていただいたお金であることも、最高に嬉しさを感じる理由だ。
実際路上で歌っていると、
励まされた!とか、
すごいね!勇敢だね!
自分も元気をもらった!とか、
あなたは私のヒーローです。
これからも歌い続けてください。ずっとあなたのことを忘れません!
などと言ってもらえることがある。
そして、その人たちからいただいたお金、そのおかげで、私は、旅を続けることができる。
新たな感動を作りに行くことができるのだ。
そうして私は、インターネットで航空券を調べ、ドキドキしながら、慎重に、購入ボタンを押した。
そして、このメールが送られてきた瞬間、もんの凄い達成感を味わった。
ついにインドへの飛行機をとったのだ!!
長い長いマレーシアの滞在がこれで終わる。
私は、新たな旅の扉をノックしたのだ。
これは私にとって、とんでもないワクワクの瞬間だった。
そして、何より嬉しいことは、今のあたしにとって果てしなく大金である18,813円を、
“路上でみんなの手から直接頂いた”
“そのお金で”
インドに行けるということだ!
飛行機取った瞬間、お金のありがたみ、みんなの気持ちのありがたみをめーっちゃ感じてウヒョウヒョな気分だ。
ちなみに、毎日、
・ホテル代の450円
・レストランのおじさんが内緒で破格の値段で食べさせてくれてる130円のランチ(夕食はお寺の無料フード)
の計580円で生きていたこの時の私にとって、18,813円は、超超大金。
みんなから路上で、”みんなの手から直接頂いたその投げ銭”で、私はインドに行けるんだ。
本当に、ありがとううう!!!!
176RM
20フィリピンペソ
20中国元
計約4918円