台湾路上ライブ2日目!日本への愛を感じまくる。
一晩お世話になった一般の民家を後にすると、いかにも台湾らしい町並みが広がっていた。
昨日は帰るのが夜中になってしまったせいで、気づかなかった。
私は、台湾のこの雑多な町並みが好きだ。
出発する前、宿のおばさんは、私が重たい荷物とギターをよっこいしょと担いだのを見て、顔を歪めて半ば悲鳴をあげるように、
「おーおー!あああああ!おああああ!」
と、叫んでいた。
おばさんは、二番目に重い私のカバンを、4階の部屋から下まで運ぶのを手伝ってくれたのだけど、それでもすごく重たそうにしていたのだが、私が、一番重いカバンを持ち上げ、更におばさんが重たがっていたカバンとギターまで一人で持ち上げたものだから、びっくりしたんだろう。
難しい中国語はわからないので、私には、全部、「アアアアアア」に聞こえたのだけれど、きっと
「そんなの持っていけるんかい!腰が折れるんちゃうかい!あらまあ!あらあら!」
という具合だったんだと思う。
わからないけど。
そんなこんなで重い荷物を担いで、ゆっくり移動しながら、駅へ向かう。
すると、道の途中で、台湾のローカルフードの中で、一番好きな「麻醬麺」の文字を発見!
足が勝手にお店の方へ向かい、気がつくと中に入って麻醬麺を注文していた。
これで150円ほどなんだから、ほんとびっくりする。
台湾のローカルフードは、驚くほど安い。
街も綺麗で、日本と比べて物価がそこまで安いというわけでもないのに、下手に東南アジアでバックパッカーするよりも、食費を安く抑えられる。
さ、て、と!
激安にお昼を済ませた後は、昨日と同じ公園に向かう。
今日も練習するため!
昨日はギター間違えまくったので、今日はもうちょいレパートリーを増やしたい。
同じベンチに腰をかけ、ギターを取り出すと、もう不安は感じなかった。
自信を持ってギターを構えた。
そうそう、コインランドリー。行かなきゃ。
昨日泊まったホテルの部屋が、洗濯禁止だったから、手で洗濯できず、もう着るものがない。
近くのコインランドリーを見つけて中に入ると、早速使い方がわからない笑。
自分でもびっくりした。
そうだ。だって。コインランドリーなんて、日本で使わないもん。
それに、全てが中国語。
お金を入れたら勝手に始まるのか、洗濯時間は自分で決めるのか、洗剤は必要なのかとか、ほんとにいろんなことが何もわからなかった。
コインランドリーの中のベンチに座っていたおじさんに、拙い中国語で、「どうやって使うの?」と聞いてみる。
すると、めちゃくちゃ不機嫌そうに、「ん!!んーーー!!!」と言いながら、小銭を入れる場所を指して、ぶっきらぼうにまた座ってしまった。
仕方なしに、洗濯物を放り込んで、お金を入れると、洗濯が始まる。
合っているかわからないけど、私もおじさんの横に並んで座った。
手持ちぶさなな私は、おそるおそる、彼に話しかけてみた。
すると、なんと彼、日本人らしい。
奥さんが台湾人で、こっちに住んでるんだとか。
いかにも会話をしたくなさそうに、「そうですけど??」「旅行も何も、こっちに住んでるからっ」と冷たく返された私は、おとなしく黙って小さくベンチに収まっていた。
いくら知らない人だからって、そんな態度取らなくてもいいのに。
と、思ってしまうほどだった。
そんな彼を見て、どこかで困ってる人がいたら、私は優しく教えてあげたいな〜と思った。
彼がいなくなった後は、またギターを取り出して、誰もいないコインランドリーで、小さな音で練習した。
洗濯が終わるのを40分間待つと、外は薄暗くなり始めていた。
さて、そろそろ歌いに行くか!
コインランドリーを出た後は、その足で西門へ向かう。
大好きな麺線で腹ごしらえし、
完全に準備の整った私は、西門の中をウロウロして、歌えそうな場所を探す。
ここは日本でいう原宿のような場所。
いい時間の西門町は、人でごった返していた。
昨日はチキって西門町から少し離れた場所で歌ったけれど、今日はこの西門町の中で歌うぞ!
昨日あれだけの人に応援してもらえた私は、1日でかなりの自信がついていた。
ガンガン音楽を鳴らすお店の前を避け、柱のすぐそばに荷物を置くと、ギターを取り出した。
今日はマイクもミニアンプも用意してるおかげで、このうるさい人混みの中でも、遠くまで音が届く。
めっちゃいい感じ。
台湾の人たちは、ちょっと控えめな感じで、盛り上がりはあんまりないけれど、それでも目の前を行く人たちの温かい視線をたくさん感じる。私を指を指して、恋人同士で微笑みの目を向けてくれたり、通りすがりにガッツポーズをしてくれたり、「ガンバッテー!」と日本語で言ってくれたり。
立ち止まって写真やビデオを撮ってくれたり、曲の合間に話しかけてくれたりする人もたくさん。
「私、日本が大好きで、日本語を勉強してます!」
と話しかけてくれる子や、
「日本人?えーーー!すごーいいい!!」
と、私が日本人であるというだけで大興奮の学生さんたちもいた。
台湾の人って、ほんとに日本が大好きなんだなあって、ものすごく感じる。
この子たちは、高校のクラブ活動で日本研究会というクラブに入っているらしく、みんなとても日本語が上手だった。
私が、彼女たちの日本語に日本語で応じる度に
「わーーーーすごーーーい!!」
とキャーキャー大興奮。
とっても純粋なんだな〜。
有名人にでもなった気分笑。
ありがとうそんな気持ちにさせてくれて笑。
彼女たちは、日本の歌も大好きらしく、
「GReeeeNのキセキ歌える?あれは?これは?」
とリクエストの嵐。
そのまでスマホでコードを調べながら歌うと、みんな一緒に歌い出し、歌い終えるごとに、「わーーーーー!!!!」
と声をあげ、キャーキャー拍手をしてくれた。
「そんなに日本を好きでいてくれて、ありがとう。
私も台湾が大好きだよ〜!」
というと、またキャーキャー騒ぎ出す彼女たち。
しばらく会話した後、最後に、「日本語の勉強頑張ってね!」と言って、お別れをした。
路上でライブするって、こういう出会いがあるんだなあ。
それが本当に楽しい。
昨日まで、あんなに
「誰も聞いてくれないかもしれない。白い目で見られるかも」
と怖がっていたのが嘘みたいだった。
実は、日本出発前までは、自分が歌う事で、誰かに元気を届けられたり、「こんな生き方してる人もいるんだぜい」ということを背中で伝えることで何かに踏み出す勇気を届けたりできたらな〜っと思っていた。
それはもちろんそうなのだが、勇気や元気をもらっているのは、実は私の方なのかもしれない。
さて、今日もたくさんチップをいただき、稼ぎは2635台湾ドル(約9510円)!
順調な出だし!みんなありがとう!
歌い終えて荷物を持って退散するが、向かう先に困った。
この日泊まる宿をまだ抑えていなかったからだ。
明日マレーシアに向かうため、空港泊してもいいかな、なんて考えていた。
が、空港への終電も程近い頃になっていた。
それに、この大荷物を持って、空港まで行くのも、面倒だ。
そこで私は、ネットカフェというアイデアを思いつく。
が、ここは台湾。
ネットカフェが周辺にあるのかも、あったとしても24時間やっているのかも、ましてそこで寝れるのかもわからない。
とりあえず、地元のことは、地元の人に聞くのが一番!
ということで、歩いている人に、ネットカフェの場所を聞くことに。
優しそうな女の人に声をかけると、全く英語が話せない様子。
けれど私が日本人だということはわかったようで。
「ニホン?」
と日本語で聞いてくる。
「リーベンレン!」
と中国語で答えると、
「わー日本人!」
と大盛り上がり!
日本は世界的にもとっても評判のいい国。
親日国は本当に世界中にたくさん存在するけれど、台湾の人たちの、日本人大好き度は、正直言って異常だ。
彼女はスマホの翻訳機能を駆使して、ご家族と一緒に本当に一生懸命にネカフェまで案内してくれた。
最初は、この辺にネットカフェってあるかどうかを聞こうと思っただけなのに、最終的にネカフェの受付までみんなしてついてきてくれ、私の代わりに受付まで済ませてくれた。
ほんと、なんて親切なんだろう。。。
ありがとう!かなり助かった!
この日、朝までの滞在コースで、ドリンク込みで300台湾ドルほど。
日本円で千円弱。
土曜でゲストハウスの値段が2〜3倍に値上がりし、3000円前後の宿しか見つからなかった私にとっては、かなりの節約だ。
ということで、今日の宿は、このネカフェのボックスブースとなった。
ソファは硬いし、タバコの匂いがするし、空調は寒いし、まあお世辞にも快適とは言えない。
それでも、休める場所を見つけられたのはラッキー。
そして、正直に言うと、なんだこう言う環境にワクワクしちゃうんだよね。
野生的なことしてる感じ笑
でね、周りを見渡して、ハッと気づいたことがあって、私のブースは、きっとホームレスなんだろうな、って言う人のブースで囲まれていた。
髪が肩まで伸びた人、足がとっても汚れてしまっている人、爪が異常に長い人、もともと白かったはずの服が茶色と黄色の間のような色に汚れてしまっている人、そう言う人たちばっかりだった。
台湾のネカフェ事情は、どうやら日本とは違うようだ。
終電を逃した人が寝泊まりするのにちょうどいいような場所ではないらしい。
深夜にめちゃくちゃ辛いインスタント麺を注文する。
リュックやギターを盗難から守るため、枕や足置きとして使い、寒さに耐えるためにありったけの服を体にかけ、化粧も落とさず荷物に埋もれて寝る私は、よほど珍しかったのか、周りの視線をジロジロ感じていた。
そして、ネットゲームに狂った若者たちが、ヘッドフォンを頭につけ、ネカフェのPCの前でキーボードを叩く音、発狂したように叫ぶ大声の中、今日の路上ライブの余韻に浸りながら、硬いベンチの上で眠りについた。
読んでくれてありがとうございます!よかったら
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