タ・プローム遺跡でラピュタの世界へ迷い込む
朝食を済ませた私たちは、次は、アンコールワット遺跡群の観光に向かった。
アンコールワット遺跡群は、あの一番有名なアンコールワットのお寺だけでなく、400平方キロメートルもの面積が、森や村、住民も含めて世界遺産登録されている。
そこに存在する遺跡はなんと100ほど!
その中で一番有名なのが、あのアンコールワットという訳だ。
さて、その100程ある遺跡の中でも、これから向かうのはタ・プロームという遺跡だ。
ここは、天空の城ラピュタのモデルになった場所と言われている。
遺跡の中に入ると、見えてきたのはこの景色!
これは、ラピュタだわ。。
試しに「バルス!」とつぶやいてみる。
すると、何も起こらなかった。
あの、誰の心の中にもある、空想の世界のモデルとなった場所が、こうして目の前に現れると、なんだか少し呆気ないような気がした。
もちろん、タ・プローム遺跡は美しい。そして何より神秘的だ。
けれど、私の頭の中のラピュタに比べると、私にはラピュタの方がもっともっと壮大で、神秘的に感じられてしまう。
アニメなのだから当たり前でしょう。と思うかもしれない。
でもやっぱり、その世界観を作った宮崎駿の想像力、そしてそのアニメを見て頭の中に大きな夢の世界を抱き、大人になってもそれを心に抱き続ける子どもの想像力に、この遺跡を前にして改めて感動したのだった。
さて、タ・プローム遺跡は、建設当時は仏教寺院として建てられ、後にヒンドゥー教に改修されたお寺だ。
そういう事情もあり、タ・プロームに施されている彫刻は、所々ヒンドゥー教、所々が仏教のものというように入り混じっている。
そしてこのタ・プローム遺跡の特徴のうちの1つが、このガジュマルの木だ。
この大きなガジュマルの木が、この遺跡の神秘さを増しているとも言えるのだが、「この木は今や遺跡を侵食しているのか、それとも支えているのか」などといった論争も起こっている。
タ・プロームを後にすると、私たちは、また別の遺跡へと向かった。
この真ん中の塔だけ欠けているのは、ここに雷が落ちたせいだという。
この遺跡は階段が多くて、観光するのにヘトヘトになった。
さて、この遺跡でヘトヘトになった後、最後にやってきたのは、バイヨン遺跡だ!
もし、シェムリアップを訪れることがあるなら、この遺跡はオススメしたい。
回廊には、東西約160メートル、南北約140メートルに渡り、一面に彫刻が施されている。
それらは、戦争の様子や、それを支えた人々の生活を描いている。
この壁画の中に、目が細く描かれている人たちがいるのだが、それは中国人の列を意味しているらしい。
のだが、、、、
前回の記事で書いたように、
ガイドの男性がその話をした途端に、また、アメリカ人とアイルランド人はクスクスと笑い出す。
「目が細いから中国人?中国人がどうしてカンボジアの壁画に現れるのさ。デタラメ言ってないでよ」
と言って大笑いした。
そして互いに顔を見合わせて、首をすくめて手のひらを上に向けるポーズを何度もし、クスクス笑い続けるのだった。
けれど、この壁画に中国人が描かれているというのは、ガイドブックにも書いてある話で、決してガイドのおじさんが冗談を言っているわけでも、嘘を言っているわけでもない。何もおかしい話ではないのだ。
彼は、中国人の列の少し横に描かれた船を指して、
「この船に乗って、やって来たのさ。」
と説明したが、彼らは
「デタラメだ」と笑って信じようとしなかった。
私は、ガイドの男性が、心底気の毒になった。
一生懸命に、遺跡について説明をしてくれているのに、全て揚げ足を取られるようにチャチャを入れられ、笑われ、頭がおかしい、デタラメだと、喋るたびに言われるのだ。
こんな態度を取られて、悲しくならない人はいないだろう。
彼はきっと彼の仕事に誇りを持っているはずだ。
それを笑われたら、きっと怒らない人はいない。
だが彼は、それでも、私とタイ人の女の子が話に耳を傾けていることもあってか、彼らの嘲笑にも負けず、説明するのを諦めないでいてくれた。
おかげで私は、彼らの行いに悲しい思いをし続けたことを除けば、少なくともこの遺跡観光を、歴史と宗教の説明のおかげで楽しむことができた。
さて、このバイヨン遺跡には、穏やかな微笑みを浮かべる菩薩の顔の彫刻がたくさんある。
菩薩の顔はどれも四面に描かれていて、その四面塔はこのバイヨン遺跡のあちこちで見られる。
人と比較するとわかるが、結構大きのだ。
なんだか微笑みを浮かべる菩薩に囲まれて、ちょっと不思議な気持ちになった後、私たちはバイヨンを後にした。
バンにホステルまで送ってもらった後、タイ人の女の子と、ガイドの男性と写真を撮る。
あんなひどいことをされて、ちょっとガイドの男性のことを気の毒に思ったが、
「グッジョブ!You are nice tour guide! Thank you!!」
と元気に伝えてお別れをした。
お腹がぺこぺこな私は、いつも通り、あの家族経営のレストランへ。
エビと玉ねぎのスイートチリ風炒め物を注文。
今日もこのレストランは最高の味だった。
そして、デザートには、サービスのフルーツ盛り合わせもいただいた。
2019/3/31
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