いつかレストランを一緒に開こう。君がオーナーで僕がシェフさ
私と、ムハンマドの間には、
密かな約束がある。
約束というより、夢のまた夢、と言った方が近いかもしれない。
ムハンマドは、私が毎日破格の値段でご飯を食べさせてもらっているレストランの、オーナー兼シェフだ。
私はよく、
「世界一周から帰ってきたら、またこのお店にあなたの料理を食べにきたい」
と言っていた。
ムハンマドは、
「僕はマレーシアに長くいるかわからない。昔はタイでお店をしていたし、その前はインドネシアだった。今はアルジェリアでお店を出そうと思ってる。だからマレーシアかどうかはわからないけど、世界のどこかでな。もちろんその時は大歓迎さ。」
と言う。
「なんで日本じゃないの?日本にお店出してよ!そしたらいつでもいけるじゃん!
「日本は全部のものが高いから、僕は多分日本にはいかない。」
「えー!!じゃあさ、もし、もし仮に、私が日本に帰って、もっと大人になった時、いつかレストランを出したら、
私がオーナーで、あなたがシェフって言うのはどう?
これならさ、私、日本にいながらあなたの料理を毎日食べれるっていう、超最高なプランなんだけど!」
「うーん。日本ねえ。まあ多分タイとかアジアの他の国だ。
僕はアルジェリアに帰るかもしれないし、地中海の別の国に移住するかもしれない。
場所なんてわかんないけど、でもいいアイデアだね。
君がオーナーで、僕がシェフ。」
それから私たちは、この
“いつか一緒にレストランを出そう”
という半分冗談のプランを、時々持ち出して笑うのだった。
この日もそうだった。
私がレストランに行くと、まだ彼は料理を準備しているところだった。
私は、そんな彼が料理するところをじっとみていた。
「私、あなたが料理するところ見てるのが好きなんだ」
私は何気にそう言った。
すると彼はこう言ったのだ。
「君が40歳になって日本でレストランをオープンしたら、僕は働きに行くさ。
そうしたら、一日中僕が働いてるのを見れるよ。
君はただお店の角に座ってお客が来るのを見ていればいいだけ。
でも君が40の時には、僕はこうなってるだろうけどね、はははは」
と言って、腰を曲げ、杖をつき、腰の曲がったおじいさんの真似をして笑った。
その動画がこれだ。
風邪をひいている私の声は、超絶鼻声笑
夕方、私は二日ぶりの路上ライブへ向かう。
まだまだ鼻声だし、あまり元気もないけれど、
流石に3日にもお休みしていられない。
路上ライブで稼いげるお金は、毎日5000円前後。
1日に使うお金は、
メニューのないレストランで使う5RM(125円)と
ホテル代18RM(450円)の合計575円。
インドまでの航空券が貯まるまで、あと少しだ。
この日歌を歌っていると、風邪ひいて、鼻声で、体調がまだ優れないこともあり、マレーシアの暑い気温の中、立って歌を歌っていると、少し辛くなって来たので、短時間だけ歌うことにした。
それでもやっぱり楽しかった!
もっともっと140%心から楽しんで歌えるように、早く風邪治したい。
この日、私が歌っていると、同じホステルに滞在してるエジプト人のバッセムが路上ライブを見にきてくれた。
彼は、路上で歌っている私を見つけると、私の歌を立ち止まって聞いてくれてる人たちがいる中、
「お!日本のスーパースター、Miho Uchidaさんじゃないですか!握手してくださいよ!彼女、すっごい有名人なんですよ!」
なんて大きな声で冗談を言いながら近づいてくる。
私は、心底恥ずかしくなった。
でも、ありがとう!
フィリピンペソ7
86.4RM
合計約2245円
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