エベレスト3日目 ナムチェバザールを探検!
「Mihooo!いつまで寝てるの、、、!」
っと起こしにくるサンディップの声も、この日は聞こえない。
今日は、高度順応のための休息日だからだ。
急激に高度を上げると、高山病にかかりやすくなってしまうので、今日はここ標高3440mのナムチェで一日過ごす。
かなりミーハーかもしれないけど、まず、「高度順応」って響きがかっこいいい!
早く上に登りたい気持ちもあるけど、この迷路のような村ナムチェを一日探検できるのも、贅沢な時間の使い方。
登山しない分、いつもより少し遅めに起き、ダイニングへ向かうと、あたしたち以外、もう誰もいなかった。
食事のメニューを広げ、朝食を選んでいると、見慣れないワードを発見。
“Porridge”
「Porridgeってなに?」
ってサンディップに聞くと、説明に困りながら帰ってきた返答は、
「うーん。シリアルみたいな感じの、、、、シリアルみたいなやつ」。
とりあえず、シリアルみたいなのは全力で伝わった。
けど、何が違うのかわからない。
もうネットがここでは繋がらない。
だからポリッジがどんなものか調べようもない。
こういう時、ネットのすごさを実感する。
見慣れないし、ここでしか食べられないものかもしれない、、、。
気になるから注文してみた。
そして運ばれてきたのがこれ。
確かにシリアルっぽいけど、ちょっとネトっとしている。
一口食べてみたら、
「、、、、」
味がない。
味がめちゃくちゃ薄いホットミルクに、甘くないシリアルを砕いて入れて、あとはなんだかわからないけどネトっとしている感じ。
あんまりおいしくない。笑
後で調べたら、イギリスの朝食の定番メニューらしい。
これじゃ朝ごはん食べた気がしない!
物足りずに、チキンモモも注文。
これは、チキンの肉汁と脂がモモの皮の中にギュッと詰まってて、何もつけなくても肉の味が濃くて本当においしかった。
もちろんトマトソースとの相性も抜群!
遅めの朝食とあって、昨日あんなに賑わっていたダイニングは、閑散としている。
もうみんな、出かけてしまったみたい。
ダイニングの壁や天井のあちこちには、国旗やTシャツ、布でできたマップが飾られていて、
そのそれぞれに
「Everest base camp!!2015」
「Tom,jane,john」
「we are the 〇〇!!!!」
と、名前などがマジックで書かれている。
ここをこれまで登山してきた人たちが、それぞれ色んなドラマを抱えながら、仲間と一緒に、長い道のりを乗り越えてきたんだろうな。
興奮も、嬉しさも、ワクワクも、達成感も、辛さも、全部全部その想いを込めて、仲間とワイワイ布地に書いているところが目に浮かんだ。
まだあたしは、この先の壮大な景色を知らない。
それを既に見て、感動して、辛さも乗り越えて、やっとここに戻ってきた人達を、このダイニングが何年も何人も温かく迎えてきたんだなーと思ったら、感慨深い。
登り道ではお酒は飲まないけど、
きっと帰ってきたときには、このガラスケースに並べられたビールで、
「おつかれさま!」
ってみんな乾杯するんだろうな。
さて、朝食の後は、ナムチェ探検!
山の冷たい空気の中、歩きにくいでこぼこの石畳に、柔らかい日差しでできた日向だけが、3月を感じさせていた。
骨董品の並ぶ店並に沿って、でこぼこくねくね石畳の道を下っていくと、ナムチェの入り口の門にたどり着く。
霧のない澄んだ空気と、黄色い日差しの下、村の景色は昨日とは少し違って見えた。
昨日は霧に覆われて、すごく神秘的だったけど、今日はとっても温かくて、カラフルな家の屋根がかわいい印象。
天気とか、空の色って、景色を彩る大事なフィルター。
自分の目と心も、天気のフィルターには勝てないなっていつも思う。
だから面白い。
せっかくの記念写真。変な瞬間撮っちゃってごめんねサンディップw
さて、ナムチェを見回して、写真も撮ったし、
元来た道を戻ると、途中、川の水を利用して回る、大きなマニ車があった。
マニ車とは、チベット仏教で使われる仏具のこと。
側面にマントラ(真言、お経のようなもの)が刻まれていて、マニ車を回転させると、回転させた数だけマントラを唱えたのと同じ徳を積めるとされている。
らしい。
この話を最初に聞いたときは、「まじか、そんなんでいいのか、なんて横着な。」
って思ったけど、もうもはやこのデカいマニ車は手で回してさえいない。
ヒマラヤの川の水で、一日中何千回も回り続けている。
御利益の自動生成機、、、。
こんなんでいいのか(笑)
そしてまた、もと来た道を戻り、次は村の中心部を散歩だ。
昔ながらの建物が残っていて、異文化トラベル+タイムトラベル感の、色んな次元で旅をしてる感じを味わえる。
歩いてるだけで、本当にわくわく。
かと思えば、ATMがあったり、トレッキング洋品店ではクレジットカードが使えたりと、インターネットは通じないのに、そういうところは現代的になってたりするのも面白い。
昔ながらの街並みと、登山客向けの街並みが、混ざり合っている。
ちなむと、ここは富士山の頂上よりも、少し低いくらいの場所だというのも忘れちゃいけない。
サーティーワンがあったり、欧米風のカフェがあったりもする。
向こうから歩いてくるのは荷物運びのヤク。
こうやって村の中を周っている。
トレッキング用品や、手編み風のニット帽やマフラーも売っている。
おじさん、ひなたぼっこかな。
気持ちよさそう。
ナムチェを一回り歩いたあとは、お昼ご飯!
ロッジに戻って、
ガーリックスープと
アップルフリッターを注文!
ガーリックスープは、高山病になりにくくなるからって、サンディップに勧められたもの。
毎日毎食ガーリックスープを勧めてくるから、ガーリックスープの周しもんなんじゃないかってくらい。
って、ガーリックスープのまわしもんってなんだ。。。すみません。
ニンニク臭くなるのが嫌だから、普段は頼まないけど、明日は3900mまで標高が上がる。
ここはおとなしく言うことを聞いて、ガーリックスープの力を注入笑。
アップルフリッターは、外がカリカリで、今まで食べたどんなアップルフリッターよりもおいしかった!
そして、お昼を食べ終わる頃には、外には霧が出始め、気温が下がり始めていた。
山の天気は変わりやすい。
そのうち、空はみるみるうちに分厚い雲で覆われ、真っ白になり、雪が降ってきた。
とここで、あることを思い出した。
ATMでお金をお金を降ろさなくちゃってこと。
さっき財布の中身を見たら、入っていたのは2万ルピーほどだった。
食費や水代、充電代を毎日払い、トイレットペーパーなども都度購入しなくてはいけないことを考えると、確実に足りない。
標高が上がれば、全ての物の値段がここより上がっていく。
そしてここがATMのある最後の村だ。
つまり今日がラストチャンス。
雪の降る中、レインウェアを着て外へ出た。
ATMへと向かい、持っていたカードを機械へ差し込む。
「標高3440でお金を引き出すなんて、これが人生最後かもしれない」
なんて、ちょっとわくわくしながら機械がカードを読み込むのを待つ。
すると画面に表示されたのは、
「申し訳ございません。このカードは受け付けられません。」
の文字。
「え、、、」
調子がちょっと悪かったのかな。
っと、もう一度カードを入れて最初からボタンを押し直す。
が、何度やっても同じだった。
最悪だ、、、、、。
これじゃ途中でお金が尽きて、空腹のまま登山することになる。。。。
普通なら
「どうにかしなきゃ。」
って考えるんだろう。
そこは持ち前の危機管理能力の低さ。
思ったのは、
「まあ、今日は機械の調子が悪いだけ。明日はいけるっしょ!」
ってこと。
もし無理なら節約しよう。
だってもうここにきてうだうだ考えててもしょうがない。
もと来た道を戻るわけにもいかないもん。
と、開き直って、その足で次に向かったのは、トレッキング用具店。
水筒を買うためだ。
ネパールに来る途中、ロストバゲージしたせいで、持っていたのはカトマンズで買った、500mlの水筒1つだけ。
水を我慢すると、高山病になりやすくなる。
ここは必要経費と思い、クレジットカードの使えるお店を探し、お湯を入れられるアルミ製の水筒を買った。
値段はカトマンズの3倍!!!
さすがに標高が高い分、値段も高い。
と言っても1400ルピー(約1400円)だけど。
レジのお兄さんは、暇そうに、分厚い英語の本を読んでいた。
少し失礼かもだけど、
「英語読めるの?」と聞いた。
読んでいたのはペーパーバック。
きっと小説か何かだろうけど、日本人の感覚からした”英語が得意”くらいのレベルだと、これを読んで意味を理解するのは結構難しいのではないか。
そして「こんな山中の村でどうやって学校に通うんだろう。。。」
「学校に通っていたとしても、英語を学べる環境はあるのかな」って咄嗟に思ったからだ。
すると、
「読めるよ。むしろネパール語の本が読めない。話すのはネパール語の方が得意だけど、読むのは英語の方が得意なんだ。ネパールでは、英語教育に力を入れているから、僕の学校では、社会も数学も理科も、英語で習ったんだよ。」
とお兄さん。
英語が話せるのは便利だけど、母国のネパール語が読み書きできず、英語の方が得意っていうのは少し寂しい気もした。
そういえばサンディップも言っていた。
学校ではほとんどの教科を英語で習うって。
だから咄嗟に何かを計算する時は、
「Twenty two times three equals sixty six」と英語でブツブツつぶやいている。
アジア最貧国のネパール。
自国で就労していても、生活できるほどの賃金がもらえないため、毎日1500人以上もの若者が海外に出稼ぎに出ていく。
ネパールには自国の産業がほとんどないため、英語ができないと、将来食べて行くことが難しくなってしまう。
そんな事情も関係あるのかな。
そんなことを思いながら、水筒を買ってロッジへ戻ると、
「カトマンズで買えば3分の1なのに、、、なんで今更買うの、、、、アホなの?」
と、やっぱりサンディップは小言を言っていた笑
このアルミの水筒が、後で相当役に立つことになるんだから、まあ見てなさいってね。
一旦ロッジへ戻ったものの、実はロッジのすぐ隣にあるお店が気になっていた。
さっき横を通ったときに、ショーケースにケーキが並んでいたのが、目に入ってしまったから。
食べたい気持ちはもちろんある。
けど、今さっき、お金を降ろせないことを確認したばかり。
でもやっぱり、食べたい、、、!
でも、現金がない!
でもやっぱり食べたい!
でも、、、
葛藤の末、
「こんなとこで売ってるケーキってどんな味か確かめるのは、今しかない、、、。」
と、雪の降る中、結局注文することにした。
座席は外に置かれたプラスチックのテーブルしかない。
椅子もテーブルも濡れていたけど、お店のお兄さんがさっと拭いてパラソルを出してくれた。
雪の中でわざわざケーキ食べなくても。。。と思っただろう笑
でも、こんな機会なかなかない!
貴重な現金の一部をデザートに捧げてしまった罪悪感を感じながらも、一口食べてみる。
と、、、
見た目ほどチョコレートは濃厚じゃない!
日本で食べるケーキの方がダンゼン美味しい!
でも、ここでチョコレートケーキを食べれたことで、すでに満足だったから、それでいいんだ。笑
この日の晩御飯にはダルバートをチョイスし、ご飯も野菜もスープもおかわりして、お腹いっぱい食べたあと、部屋に戻って眠りについた。
明日は標高3900m、タンボチェに向かうよ!
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